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2006年12月10日
西雅秋「超・刻へ」

これを作品と呼んで良いのだろうか。東京・京橋にあるINAXギャラリー2で行われている西雅秋「超・刻へ」+「大地の芸術祭2006」再生民家のアーティストたち。どちらがメインとも言えない展覧会であるが、広い面積を占めているのは後者。今年の越後妻有トリエンナーレで行われた「空家プロジェクト」の模様を模型と写真で紹介しているものだ。しかし問題はその設置の場となっているギャラリー空間というハコ自体。行った人は分かるだろうが、ビルの9階に上がり左がギャラリー1で、右がギャラリー2。その2の喫煙場所を仕切る壁が四角く切り取られているのだ。さらに切り取られた壁はそのままギャラリー入口に素っ気なく放り出されている。壁の切り口には内臓とも言える建材や断熱材が生々しく覗いている。それだけなのだが異様なほどの存在感を見せている。西のアトリエに行った時、周囲の崖にさり気なく置かれている彼の旧作の姿を思い出した。それらも美術館の空間にあるよりも数段上回るような存在感を持っていた。

以前は2階にあったINAXギャラリーは現在は9階。それをまた2階に戻すそうだ。つまり改装が行われる。したがって現在の空間は解体されるのだが、いわば西はその戦陣を切ったと言えよう。そして冒頭に戻る。はたして、これを作品と呼んで良いのだろうか。西自身は「もう作品を作らない」と語っている。確かにこれは彫刻家としての彫刻作品を西は「作って」はいない。「再生」のための「解体」に手を貸しただけだ。だが解体業者が解体する際には四角く壁を刳り抜くような作業は行わないだろう。ハンマーで粉々に砕いてしまうだけだ。「作って」てはいないが、しかし西の作業によって切り取られた壁は、「もの」としての存在を強固に主張している。それは西なくしては得られない存在だ。やはり「作品」と呼んで差し支えないだろう。「超・刻」という営為によって生み出された。(提髪明男)

INAX↓
http://www.inax.co.jp/culture/index.php